思いのままの色

王様の耳はロバの耳

発見の日々

※子供の頃の話が出てきます。読まれて辛くなるといけないので、閲覧注意です。


大切な人と連絡が取れなくなってから、色んなことを考えた。

今でもたくさん泣くけれど、色んな理由で涙が溢れてくる。

その中での発見といえば、私は多分「恋愛依存症」だということ。
病院に行ったわけでもないし、それまでは考えてもみなかったけれど、どうやらそういうことらしい。

そして、それはどういうことかというと、子供の頃の親との関係にまで遡るとか。


表面は整いながらもその実はbadな私の生い立ちは、数年前まで何度となく決行してきた断捨離祭りで葬り去ったと思っていたけれど、事はそう単純なものではなかった、らしい。

あの当時もそれなりに苦しんで、泣きながら教科書やら昔の私物やらを捨てていたけれど、物が目の前から消えただけでは消せない「澱」のようなものが、ずっとずっと、無自覚なまま残っていたらしい。


私は親に愛されたかった。
親にも事情があったとはいえ、まだ子供の私が受け止めきれないものを何とか抱えて、自分の弱味は誰にも見せてはいけないと決めて歩くのは、本当に本当に辛かった。
ただ、愛されたかっただけなのにね。


そういう気持ちを思い出さなくて済むように、とりあえずは物を捨てていたのかもしれない。
当時は多分、それで良かった。

でも、大人になっても続く嘘っぱちの人生を止めるためには、本当に自分の足で立つためには、どこかで「それ」と向き合わなければならなかったのだろう。


寂しさを男の人に埋めてもらうこと。


言い方は悪いけれど、アホみたいにモテてきて、なのに全く全く満たされなかった。
別に男の人と寝まくった訳じゃない、そういう趣味は無いけれど、どんなに褒められてもどんなに愛を告白されても、決して満たされなかった。


ある時、この人は私を女として見ないだろうという人に、すっかり心を許したことがあった。でもそれは私が男の人を甘く見ていて、やっぱり口説かれてしまう。
ひどくがっかりしながらも、私をそれなりに知って、それでいて好きだという男の人を満たそうとすれば、もしかして何か変わるかもしれないと思った。
それで、「あーあ」と思いながら駒を進めてみる。

けれども、結局空しくなったり、それなりに好きになっても気持ちに応えられずに結果として傷付けてしまったりで、何をやっているのか分からず、どんどん自信を失くして、どんどん辛くなった。


私には何かが欠落している。
この心に空いた大きな大きな穴。
これがあるから、いつまでもいつまでも男の人が寄ってくるのだと思った。
容姿に恵まれているから、という理由だけでは決してない。
しかし、ならばこの「穴」は何だろう。
私の胸にずっとある、この大きな欠落。


その後、心から好きな人ができて、その人を傷付けてしまって死ぬほど泣いて、そうしてようやく気付いた。
私は親に愛されたかったのだと。


今は親との関係はそれなりに良好である。
たまに実家に帰ったりもする。
そこで、愛されていることにも、多分愛されていたことにも気付く。


けれども、私の中にいる幼い頃の私は、ずっとずっと、愛されたいと泣いたまま。途方に暮れて、立ち尽くしている。
私はずっと、それを見ないようにしてきた。


悲しくて寂しくて辛くてどうにかなりそうなのに、それに耐えて、何でもないふりをして、何とか生き抜いた日々。
親は頼れない。
友達も、先生も頼れない。
私が何とかしなければ。


そして今。
当時と全く同じ心境で、日々を生き抜いている。

今までと同じことをしていてはいけない。
今、この悲しみを受け入れなければ、私はきっとまた同じ過ちを繰り返してしまう。
今までのように嘘っぱちな人生も御免だけれど、大切な人を傷付けるなんて本当に堪えられない。

だから、泣ける時には泣くことにした。
それくらいしなければ片付かないくらいの悲しみを、飲み込んで飲み込んで生きてきたのだから。
新たな傷とともに。


あの人を傷付けてしまって、本当に悪いことをしてしまった。
それは私が自分を認められていないからで、この欠落、この大きな「穴」を埋められるのは、やっぱり私なんだ。


ごめんね、私まで見ないふりをして。
ごめんね、辛かったよね。
ごめんね、泣いてもいいよ。

本当にごめんね。



夢佳