思いのままの色

copyright © 2017 思いのままの色 花蝶夢佳

前倒し生活

人間、変われば変わるものである。


昨夏は顔を主とした謎の肌荒れに悩まされ、痒さで眠れない日々が続き、すっかり生活のリズムがめちゃくちゃになっていた。

痒い→眠れない→朝に気絶→痒みで起きる→何とか生活

の、繰り返しの毎日。
仕事にもならないし、正直なところ生きているだけで精一杯で、当然のように辛さが積み重なっていった。


一応商売道具の顔が使えないというのは、相当な絶望だった。
原因は食物アレルギーだが、こんな歳になって発症するものなのか、当初は全く心当たりがなく困り果てたものだった。


近頃はずいぶん調子もよくなり、おかげさまで以前の状態に近い。

ところが、当時の夜型のでたらめな生活習慣を直すのが、なかなか、時間が掛かった。
無理矢理に徹夜をしたりして、何とか朝起きて夜に眠る生活に戻している。


すっかり夜型生活が染み付いていた時には、辛さや寂しさを紛らすためにかスマートフォンでのネットサーフィンが止められなかった。


それでも、薄暗い部屋で眩しく小さな画面を見続けるのは目にも心にも悪く、それをスパッと我慢して、眠れなくても目だけは閉じて過ごすことにした。


それで、余計としか思えないことを、色々考えた。
そういう時間を持ちたくなかったから、ずっとスマートフォンを握り締めていたのかも知れない。


そうして目を閉じて、気が付くと朝が来ていた。


すごく、嬉しかった。


それからは、睡眠時間としては足りていなくても、毎朝決まった時間に起きることにしている。
目覚ましのアラームが頼りだが、昔はあんなにイライラしていたのに、今は起こしてくれるだけ有難い。



そうして朝きちんと起きると、それだけで一日が長く、やりたいことがどんどん片付く。
掃除も洗濯も、あっという間に終わって、それでもまだ朝の時間がある。
花瓶の花も生け直せるし、勉強だってできる。そして何よりも清々しい。



だらだらと夜更かしするのが至上の楽しみで、むしろ私といえば宵っ張りだったはずが、朝に起きて窓を開け放ち、部屋の空気をすっかり入れ換えるのが、堪らなく心地好い真人間気取りになってしまった。


人生を立て直そうと思ったら、きちんと生活するしかないと思ったのだ。


そういう生活を続けていられることが、何よりも自分の励みになっている。
やれば、できるじゃないか、と。



そして、何でも早めに済ませることをよしとするようになった。
あれ、明日でいいかな、ちょっと面倒だし、ということも、すぐにやってしまうととても楽だ。

これまでは先延ばしにして、要らぬ苦労を増やしていたように思う。


朝に花を生け直せると、一日花がしゃんとしたままで、見る度に嬉しくなる。


断捨離人間になってからは部屋は片付いているのが当然になっていたが、それに加えて朝型生活に慣れると、気持ちの余裕が増えたように感じる。
これも大変有難い。

生きていればどうにもならないことにも出くわすが、自分でどうにかできるところ、環境や生活を整えられると、それだけで気持ちの支えになる。
これだけやったから大丈夫って思える。


こうしてまだまだ変わっていけると思うと、何だかそれも嬉しい。
自分を諦めないでいられるのは、実に希望に満ちたことだ。



夢佳